
しるし結びは、愛を語らない男が“想い”を伝える方法だった
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男って不器用だ。 言葉で「愛してる」なんて、気恥ずかしくて言えない。 何でもないふうを装って、感謝も、喜びも、全部胸の奥にしまい込んでしまう。
でも、ふとした瞬間に思うことがある。
「ちゃんと、伝わってるんだろうか?」
結婚して何年か経つと、なおさらだ。 一緒にいるのが当たり前になって、日々の小さな感謝も、想いも、言葉にしなくなっていく。
彼女が出してくれる朝ごはんも、寝る前の何気ない一言も、 そこにどれだけの想いが込められているのか、本当は分かってるつもりだけど――
じゃあ、俺は? 俺は彼女に何を返せている?
ある日、何気なくSNSを見ていたら、目に留まった。 『しるし結び』というペアグラス。
名前が結ばれてデザインになっていて、正直、最初はちょっと照れくさかった。 でも、 「これ、渡したら、なんか伝わるかもしれない」 そう思った。
記念日でも誕生日でもなかったけど、 「いつもありがとう」とか、 「これからもよろしく」とか、 普段だったら絶対言えないようなことを、 グラスに込めて渡してみた。
彼女は驚いた顔をして、でもすぐに笑ってくれた。 その夜、ふたりでそのグラスで乾杯した。
ただそれだけのことだった。 けれど、 乾杯の“カチン”という音が、 なんだか心の中の言葉にならない感情を、ちゃんと伝えてくれた気がした。
たぶん、男にとっての『しるし結び』って、 愛してるなんて口にしなくても、「ちゃんと想ってるよ」って伝えるための方法だ。
不器用でもいい。 言葉が少なくてもいい。
大切な人に、ちゃんと気持ちを伝えたいとき、 『しるし結び』は、頼れる“しるし”になる。
愛を語らない男の、静かなメッセージ。 それが、形になるって、いいもんだなと思う。